[開催報告] 学校と家庭、福祉をつなぐ人~「これからの学校」を地域がどう支えるか?(3/20)

学校だけでは解決できない子どもや家庭の困りごとに対し、課題を整理し、さまざまな社会資源とつなぐ役割として「スクールソーシャルワーカー:SSW」という職業が注目されています。文部科学省も、2020年までに「週3時間のSSWを全国に10,000人」を目標に予算付けを行っています(これはこれでワーキングプアを生んでいるのではないか、という指摘もあります)。三田市では2016年度から週1日のSSWが2名(八景中学校区、狭間中学校区)が配備されていますが、その実情はよくわかりません。そこで、SSWへのアドバイスや仕組みにはたらきかける取り組みを行っている、金澤ますみさん(桃山学院大学 准教授)にゲストに来ていただき、その実情を話していただきました。

1.SSWは「何をする人」ですか?

そもそも「ソーシャルワーク」とは何をすることでしょうか? 何か困りごとが発生したとき、私たちはその原因を「その人」に求めがちです。もちろんその要因も大きいかもしれませんが、「人」ではなくその状況を発生させた「環境」の改善に働きかけることで、その人の再スタートを支援する人のことです。SSWは、①学校を拠点に、②子どもの最善の利益・教育権の保障と生活支援を目指し、③学校が安心・安全に教育が受けられる環境になる/であり続けるように様々な構造に働きかける取り組みをしているとのことです。「出会う人みんなが社会資源」という考え方をもって、子供を取り巻く環境の改善を目指して関係機関等とのネットワークを活用した取り組みもしています。学校はたくさんのエピソードを持ちながらも集約されていない、それをみんなで考える場をつくる役割を担っています。

2.SSWの見方

「小学生が学校を休む理由としてどのようなことがあるでしょうか?」という問いに、いろんな可能性を参加者で考えてみました。。けが、風邪、不登校、親がいかせない・・・中には、「旅行」とか「ゲームの発売日」という理由もあるかもしれませんね。ゲストによれば、その欠席が、①安全・安心な欠席なのか?、②子どもの教育を受ける権利が保障されているか?、③その状態は子供の成長・発達の機会を保障できているものか? という視点で考えるそうです。同じ欠席でも家庭や子どもによってその状態の意味が異なるとのこと。ここをしっかり整理できるか、がポイントですね。

3.SSWの働き方

週1日のところもあれば週4,5日のところもあるとのこと。給与単価も、先行して導入されたスクールカウンセラーの額を参考に作られたところもあれば、都道府県・市によって全く異なるそうです。最近は常勤的雇用も増えつつありますが、社会保険が付かない人も多く給与増が望めない状態からも、転職してしまう人も多いそうです。

もちろん、勤務日数によってできることは異なります。関係性を構築する必要もあり、2,3年勤務してはじめて「ケース」が持てるようになるなど、熟成の時間が必要です。また、学校、場合によっては市に1人しかいないことも多く、悩みを抱えて孤立してしまうことがあります。SSWの目的と役割、専門性を教育委員会(雇用者)が理解しているか、子ども支援を継続にするために必要な雇用環境や支援体制が整っているか、を注目していきたいところです。

4.子どもの「夕刻を支える場」の可能性と意義

子どもの貧困が話題になっています。子どもの貧困問題を通して、子どもの「居場所の重要性」がクローズアップされたということでしょうか。「本当の貧困探し」をするのではなく、何かしらのしんどさを持っている子が、自然な感情をありのままに出せる場の大切さが実感できる、「仁の物語」を見ました。

仁の物語(作成:NPO法人山科醍醐こどものひろば)
(前編) https://www.youtube.com/watch?v=IWlmZN7t9JQ
(後編) https://www.youtube.com/watch?v=nwsDYBFowew

このような子どもの「夕刻を支える場」の一つに「トワイライトステイ」や「子ども食堂」、「おてらおやつクラブ」といった取り組みがあります。このような取り組みを支えるために、ミッションに共感するアーティストとともに応援CD『夕刻を支える場の可能性』(全4曲)を作られたそうです。ぜひ聞いてみてください。

『ただいま』~夕刻を支える場のテーマソング
https://www.youtube.com/watch?v=xLFSvUyeI2A
(企画の案内) http://www.kmrb.jp/yukoku.html

金澤先生、作詞作曲もしはるんですね。マルチな才能にびっくりです。

その後、活発な質疑が行われ、延長戦も実施。参加者の多くがなんと90分も延長して金澤先生といっしょに意見交換をしました。とても中身の濃い時間を過ごすことができました。ご参加いただいた皆様、金澤先生、ほんとうにありがとうございました!

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